こんにちは、トラごんです。
今回は中東で注意すべき病気を紹介していきます。
なお、この記事は厚生労働省等のHPを参考にしております。
中東全域で注意すべき病気
食中毒
(細菌性赤痢、A型肝炎、腸チフス、サルモネラ、カンピロバクター感染症、コレラ、アメーバ赤痢、ジアルジア症[ランブル鞭毛虫症]など)
夏場(5-11月)は気温が非常に上がり、50℃を超える場合もあり、食中毒がたびたび発生しています。食品がしっかりと加熱されているか確認してください。
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MERS[中東呼吸器症候群]
ヒトコブラクダの唾や非加熱肉、未殺菌乳でヒトへ感染すると言われています。また、ヒトからヒトへは飛沫感染でうつるとされています。
以上に接触しないように行動してください。
特に基礎疾患がある人は注意してください。呼吸器系(鼻水、咽頭痛、咳、呼吸困難)や下痢(確率的には1/3程度)などの症状が出ます。 典型的には、発熱、 咳、咽頭痛、筋肉痛、関節痛などで発症し、その後呼吸困難が出現し 1 週間程度で肺炎に進行します。なお、現時点でMERSに特異的な治療薬やワクチンはなく、致死率は高いです。
狂犬病
発症したらほぼ100%死にます。流行地域(インドやコウモリ、キツネ等が多い地域)で滞在地近くに医療機関がない人や動物研究員等は必ず予防接種をして下さい。
ただ、ワクチンは高く、イヌは普通ヒトを噛もうとしてきませんので、各自リスクマネジメントをお願いします。インド等への短期旅行者はそこまで必要ではないと思います。
クリミア・コンゴ出血熱
特にトルコ・イラン・UAE等では注意が必要です。イボマダニによって媒介されます。ワクチン、予防薬、治療法はなく、対処療法で治療しますが、死亡率は高いです。ダニが活発に活動する春から秋は特に注意が必要です。屋外ではディートを含有する虫除けを使用し、衣服や肌にダニがついていないかチェックして下さい。また、流行地域では家畜を含む動物にはむやみに近づかないようにしてください。特に、体液・血液には触らないでください。
突発的に発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛がみられ、重症化すると出血傾向(発疹・鼻血・血便など)や肝臓・腎臓に障害がでてきます。
リーシュマニア症
地中海沿岸国と国境を接する国の農村で多く見られますが、アフガニスタンのカブールやイラクのバグダッドでは都市部でも見られます。
媒介するサンチョウバエは夜間に活動するため、夜間外出は控えるようにして下さい。また、蚊の1/3ほどの大きさなので、通常よりも網目の小さい蚊帳を使うとともに、虫除け(ディート配合)を蚊帳、カーテン、シーツ等にも散布して下さい。また、このサンチョウバエは自らは飛べず、風に乗って移動するので、二階以上の部屋に滞在するのも対策の1つです。
リーシュマニア症は皮膚、粘膜皮膚、内蔵と3つのタイプがありますが、中東では皮膚リーシュマニアが多いです。感染部位に皮膚病変(小さな丘疹)や続いて潰瘍を生じ、生涯に渡って瘢痕を残します。細菌感染を起こすと痛みが生じ、重症化すると重度の身体障害を起こします。治療薬はアンチモン剤やアンフォテリシンB、ペンタミジンを用います。
中東の一部地域で注意すべき病気
限られた地域で以下の病気が発生しています。各自情報収集を行なって適切な対応をとってください。以下一般的な情報を述べていきます。
マラリア
媒介するマラリア蚊(ハマダラカ)は夜間に活動するため、夜間外出を控えたり、蚊帳を使用することが大事。ただ、蚊帳は破れていたりすることも多いので注意。長袖長ズボンの着用、ディート(濃度30を推奨)などの虫除けで対処しましょう。
予防薬(メフロキン等)があり、トラベルクリニック等で購入できますが、継続的な服用が必要です。また、旅行先がへんぴな際は、医療機関によって治療薬を処方してもらうこともできます。マラリア原虫の種類にもよりますが、周期的な高熱が主症状。悪寒、冷汗、頭痛、筋肉痛、意識障害などの症状も。渡航中、あるいは帰国後2週間以内(一週間後が多い)に高熱が出た場合は即刻医療機関を受診してください。遅れると重症化したり慢性化します。(特に熱帯熱マラリアの場合は一刻を争います)治療は、アルテミシニン併用療法を行います。
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デング熱
東南アジア等からの帰国者が年200人ほどかかっていいます。ネッタイシマカやヒトスジシマカによって媒介され、ヒトからヒトへの感染はなく、感染者を吸血した蚊が他のヒトを吸血することによってうつります。
2~7日の潜伏期間の後、発熱、頭痛、後眼部痛、筋肉痛、背部痛などの症状がでて、その後発疹(点状出血班)が出現し、一週間程度すれば回復しますが、重症化すると血漿露出や出血傾向を示すようになるので注意です。まだワクチンはなく、輸液や解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)で治療します。
チクングニア症
一般的にはアフリカや東南・南アジアに多いですが、WHOによるとアイラン南部、アフガニスタン南部、サウジアラビア南部、イエメン、オマーン、カタール、バーレーン、UAEがリスクのある国とされています。
ネッタイシマカやヒトスジシマカという蚊が媒介します。予防薬やワクチンはなく、虫除けが唯一の予防法です。肌を露出する格好は避け、昆虫忌避剤を使用しましょう。治療法はなく、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)で対応します。(対処療法)
数日~一週間前後の潜伏期間を経た後、発熱、関節炎・痛(特に四肢対称性)、発疹(約8割の頻度)等が起きます。他に、結膜炎や神経系の症状、あるいは出血傾向を示すこともあります。
ウエストナイル熱
主にイエカが媒介します。治療法や予防薬はなく、治療は対処療法です。肌を露出する格好は避け、昆虫忌避剤を使用することが大事です。
8割は不顕性感染(症状が出ない)ですが、発症すると、発熱、頭痛、背部痛、筋肉痛、筋力低下、食欲不振がみられます。また、半数程度の頻度で皮膚発疹がみられます。特に高齢者は重症化しやすいので注意です。
住血吸虫症
特にイラクやイエメンで注意してください。サウジアラビアやオマーンでも一定の注意は必要です。
河川や湖沼といった淡水中にいる住血吸虫によってかかります。予防薬やワクチンはなく、流行地域で河川や湖沼に入らないことが大切です。どうしても入らなければならない時はゴム手袋やゴム長靴を着用してください。プールや海へは入っても大丈夫です。
住血吸虫の種類によって症状は異なりますが、ビルハルツ住血吸虫症だと、痒みを伴った皮膚炎を起こしたり(ないときもある)、頻尿や血尿が急性期にみられます。マンソン住血吸虫だと、4週間以上の潜伏期間を経て、発熱[片山熱]、じんましん、下痢、肝臓や脾臓の腫れ、せきなどの急性期症状がみられます。治療はプラジカンテルを用います。
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アフガニスタンで注意すべき病気
ポリオ
有効な治療薬はなく、ワクチンによって予防することが最も重要です。日本人はほぼ乳児期に予防接種を受けていますが、昭和40-42年生まれの人、4種混合ワクチンの定期接種を終えていない人、4週間以上の長期滞在者、これまでに一度もワクチン接種を受けていない人はOPV(生ワクチン)投与を受けることをお勧めします。
90%以上は不顕性感染(感染しても症状が出ない)、約5%が不全型(かぜのような症状)、約1%が非麻酔型(不全型の症状+無菌性髄膜炎を呈するが麻痺はない)、約0.1%が麻酔型(1-2日の風邪症状後、解熱前後に四肢に弛緩性麻痺が現れる。最も重篤で5割の患者に永続的後遺症が残る。)です。
地中海沿岸で注意すべき病気
ブルセラ病[地中海熱]
ブルセラ菌に汚染された乳製品が感染源です。安全性に注意してください。
ブルセラ菌に汚染された生乳や乳製品(自家製チーズ等)の摂取により感染が起こっています。安全性の確認されているものを食べましょう。主な特徴は不明熱で、午後~夕方に発熱し、朝には解熱・発汗という間欠熱が一時的な軽快を伴いながら繰り返します。ヒト用ワクチンは実用化されていません。治療は、ドキシサイクリン+ゲンタマイシンorリファンピシン、もしくはドキシサイクリン+ゲンタマイシン+リファンピシンの2剤/3剤併用療法で行います。
水道水情報
ミネラルウォーター飲用をおすすめします。
多くの国で海水を淡水処理化した水道水が供給されていますが、輸送パイプや貯水タンクに問題がある場合もあります。
推奨されるワクチン
全域で推奨されるワクチン
場合・地域によって推奨されるワクチン
狂犬病(犬や野生動物と触れる人、動物研究員等)
マラリア(ワクチンではなく、予防投薬。流行地域に行く人)